卵巣機能低下に対する治療とは、AMHなどの検査結果や年齢、治療歴を踏まえ、妊娠の可能性を最大限に高めるために個別化した卵巣刺激や治療戦略を行う医療です。
- 対象となる方
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- 40歳以上の方
- AMHが低いと指摘された方
- 採卵で卵子が少ない、育ちにくい方
- 年齢とともに卵巣反応の低下を感じている方
- 良好な胚盤胞が得られない方
- 胚盤胞が得られても、正常な胚が得られない方
卵巣機能は年齢とともに低下していくもので、卵子の数や質は少しずつ変化していきます。
当院では、検査結果やこれまでの治療歴・年齢・ご希望(回数、期間、負担の大きさ等)を踏まえ、患者さまごとに最適な治療方針をご提案します。
卵巣機能の評価 AMH検査
AMH検査とは
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、前胞状卵胞から分泌されるホルモンで、血液検査により測定します。
AMHの値を参考にすることで、卵巣内に残っている発育途中の卵子の目安(卵巣予備能)を評価することができます。
AMHは以下のような治療方針の検討に役立ちます。
- 卵巣刺激の強さ(高刺激/低刺激/自然周期など)の検討
- 採卵数の見込み、治療計画の立案
- 年齢・治療歴と合わせた妊娠までの戦略設計
- AMHは卵子の「数」の目安であり、妊娠の可能性を単独で決めるものではありません。
個別刺激
個別刺激とは
排卵誘発剤を用いて卵胞の発育を促し、排卵や採卵へつなげる治療を「卵巣刺激」といいます。
タイミング法・人工授精・体外受精など、治療の段階に応じて刺激方法を選択します。
卵巣刺激にはいくつかの方法があり、患者さまの卵巣機能や年齢、治療歴に合わせて調整します。
それぞれの刺激法について
刺激方法にはメリット・デメリットがあり、卵巣反応(卵胞の育ち方)や過去の治療経過を踏まえて最適化することが重要です。
当院では、採卵数だけでなく卵子の質・身体への負担・治療の継続性も大切にしながら治療方針をご提案します。
低刺激法
目的
卵巣への負担をできるだけ抑えながら、排卵や卵胞発育を促し、採卵の機会をできるだけ確保することを目的とした方法です。
特長
内服薬を中心に使用し、必要に応じて注射を併用することもあります。
高刺激に比べて身体への負担が少なく、特に40歳以上の方、卵巣機能が低下している方や、高刺激で卵胞が育ちにくい方に適している場合があります。
注意点
育つ卵胞数は比較的少ない傾向があるため、採卵数を多く確保する刺激法とは異なります。
患者さまの卵巣の反応や治療歴に合わせて、刺激方法を個別に調整します。
アゴニスト法
目的
GnRH点鼻薬により、自然排卵を抑えながら卵巣刺激を行い、採卵のタイミングを整え、複数の卵胞を育てやすくすることを目的とした方法です。
特長
GnRHアゴニスト(主に点鼻薬)を用いてホルモン分泌を調整し、排卵誘発剤(注射)と併用して卵胞を育てます。
アゴニスト法には、主にロング法/ショート法の2種類があります。
ロング法
前周期からGnRHアゴニストを使用し、ホルモン分泌を抑制したうえで、月経開始後に排卵誘発剤(注射)で卵胞を育てていきます。
周期をコントロールしやすく、安定した刺激が期待できます。
若い方、卵巣機能が保たれている方に適している刺激方法です。
ショート法
月経開始と同時期からGnRHアゴニストを使用し、排卵誘発剤(注射)による刺激を組み合わせて卵胞を育てます。
体質や卵巣の反応を踏まえて選択されます。
若い方、卵巣機能が良い方だけでなく、卵巣機能が低下した方にも適している刺激方法です。
注意点
ロング法は採卵数が多くなることがり、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起きないよう、薬剤量等を十分に調整して行います。
アンタゴニスト法
目的
GnRHアンタゴニスト製剤により、卵胞を育てながら自然排卵を防ぎ、適切なタイミングで採卵を行うことを目的とした方法です。
特長
排卵誘発剤(注射)で卵胞を育て、卵胞が一定の大きさになった段階でGnRHアンタゴニスト(注射)を追加し、排卵を抑えます。
治療途中での調整がしやすく、体外受精で広く用いられています。
比較的多くの方に適した方法です。
PPOS法
目的
卵巣刺激を行いながら自然排卵を抑え、採卵数の確保や治療の安定化を目指す方法です。
特長
排卵誘発剤に加えて黄体ホルモン剤を併用し、排卵を抑えながら卵胞を育てます。
注意点
採取した胚は全て凍結(全胚凍結)となります。採卵周期に移植を行う新鮮胚移植はできません。
卵巣機能改善のための再生医療
当院では再生医療を不妊治療に応用し、卵巣機能改善への取り組みを実施しています。
詳細は「再生医療」をご覧ください。
よくある質問
- Q. AMHが低いと妊娠は難しいですか?
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AMHは卵巣に残っている卵子の「数」の目安であり、卵子の「質」を直接示すものではありません。
AMHが低くても妊娠される方はいらっしゃいます。
ただし、採卵できる卵子数が少なくなる傾向があるため、年齢やこれまでの治療経過も踏まえ、できるだけ早めに適切な治療戦略を立てることが重要です。 - Q. 卵が1個しか採れなくても治療は意味がありますか?
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はい、意味があります。
1個の卵子からでも妊娠に至る可能性はあり、実際にそのようなケースも少なくありません。
当院では採卵数だけでなく、その1個の卵子の質や治療の継続性を重視し、患者様の状況に合わせた治療をご提案しています。 - Q. 刺激法は途中で変更できますか?
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はい、可能です。
卵巣の反応は周期ごとに異なるため、治療途中でも超音波やホルモン値を確認しながら、必要に応じて薬剤や刺激方法を調整します。
当院では画一的な方法ではなく、リアルタイムで反応を見ながら柔軟に対応しています。 - Q. 低刺激と高刺激、どちらが良いですか?
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一概にどちらが良いとは言えません。
卵巣機能、年齢、過去の採卵結果などによって最適な方法は異なります。
当院では、身体への負担、採卵数、卵子の質を総合的に考慮し、お一人おひとりに最適な刺激法を選択しています。 - Q. 年齢が高くても採卵は可能ですか?
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年齢が高くなると妊娠率は低下しますが、採卵自体ができなくなるわけではありません。
卵巣の状態や全身状態を評価したうえで、可能な治療選択肢をご提案しています。
東京ARTクリニックでは、高年齢や卵巣反応が低い方にも対応できる体制を整え、妊娠の可能性を最大限に引き出すことを目指しています。