一般不妊治療とは、排卵誘発、タイミング指導、人工授精などを中心とした体外受精前段階の治療を指します。
以下でご紹介する一般不妊治療は、いずれも保険適用となります。

当院(東京ARTクリニック)では、それぞれの患者さまの状況に応じて、最適な治療、ステップアップのタイミングをご提案します。

治療内容や費用につきましては、事前に丁寧にご説明いたしますので、ご不明な点やご不安な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

タイミング指導

タイミング指導とは

タイミング指導は、不妊の明らかな原因が見つからない場合(機能性不妊など)や、原因とされる因子が治療によって改善された場合に選択される治療方法です。
女性には妊娠しやすい時期があり、一般的に排卵日の2日前から排卵日の翌日までとされています。この時期に合わせて性交渉を行うことで、妊娠が成立しやすくなります。
そのため、排卵日をできるだけ正確に予測し、妊娠の確率を高めていくことがタイミング指導の目的です。
排卵日を予測するためには、いくつかの方法を組み合わせて行います。
まず、基礎体温の測定により排卵日をおおよそ把握し、排卵が近づく時期に合わせてご来院いただきます。
院内では、経腟超音波検査による卵胞の計測、採尿によるホルモン検査、頸管粘液検査(量や性状の変化の確認)などを行い、より正確な排卵日の予測を行います。
排卵日が予測された後は、妊娠の確率が高いとされる排卵日の2日前から前日にかけて、タイミングを合わせた性交渉を行っていただきます。
なお、タイミング指導の治療期間の目安は約6か月(6周期)とされており(年齢や卵巣機能により期間は異なります)、この期間で妊娠に至らない場合には、次の段階の不妊治療をご提案することがあります。

図1
妊娠しやすいタイミングとは?
Dunson DB et al. Hum Reprod 17;1399-1403, 2002の図

上記のグラフは、排卵日からいつのタイミングが一番妊娠率が高いかを示しており、排卵日の2日前にタイミングをもつことが最も妊娠率が高いことがわかります。

排卵誘発

排卵誘発とは

タイミング指導のみでは妊娠に至らない場合や、排卵が不規則である、無月経がみられるなどの排卵障害がある場合に行われる治療が、排卵誘発剤を用いた不妊治療です。
排卵誘発剤を使用して卵巣を刺激することで、排卵を促し、妊娠の成立しやすい状態を整えることを目的としています。
排卵誘発によって卵胞の発育を促すことで、タイミング指導や人工授精と組み合わせて治療を行うことが一般的です。
排卵誘発剤にはいくつかの種類があり、治療の段階や卵巣の反応に応じて選択されます。
比較的多く用いられるのが、クロミフェン製剤やレトロゾールと呼ばれる内服薬で、排卵を促したり、卵胞の成長をサポートしたりする作用があります。
内服薬のみで十分な効果が得られない場合には、注射薬として、hMG(ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)、hCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)などを使用し、卵胞の発育や排卵を促します。

なお、排卵誘発剤の使用にあたっては、複数の卵子が排卵されることによる多胎妊娠のリスクや、卵巣が過剰に反応することで起こる卵巣過剰刺激症候群(OHSS)に注意が必要です。
当院では、超音波検査などで卵巣の状態を確認しながら、安全に配慮した治療を行っております。

人工授精

人工授精とは

人工授精は、排卵の時期に合わせて性交渉を行うタイミング指導でも妊娠に至らない場合に、次のステップとして選択される不妊治療です。
主に、マスターベーションにより採取した精子を、細いカテーテルを用いて排卵の時期に合わせて子宮内へ注入します。体外で受精させる治療ではなく、受精や着床は自然妊娠と同じ過程で起こります。
注入する精子は、そのまま使用するのではなく、洗浄・濃縮を行い、雑菌などを除去したうえで、運動性の良い精子を選別して使用します。
精子が子宮内に直接届けられる点が自然妊娠との主な違いであり、その後、卵管内で卵子と受精し、着床に至る流れは自然妊娠と同様です。
治療内容によっては、排卵誘発剤を併用し、妊娠の確率を高めることもあります。
人工授精は、タイミング指導で妊娠が難しい場合に加え、EDなどにより性交渉が困難な場合や、軽度の男性不妊の方において、精子の洗浄や濃縮を行うことで妊娠の可能性を高める目的で行われることもあります。 なお、人工授精で使用する精子がご夫婦・パートナーの男性のものである場合はAIH(配偶者間人工授精)、提供精子を用いる場合はAID(非配偶者間人工授精)と呼ばれます。

図2

卵管形成術

卵管形成術とは

卵管形成術

精子と卵子が出会い結合した状態を受精といい、通常、精子は卵管を通って卵管膨大部で卵子と出会います。
しかし、炎症などをきっかけとした卵管周囲の癒着により、卵管が詰まったり狭くなったりすることがあります。
原因としては、子宮内膜症やクラミジア感染症などが挙げられます。 卵管の異常は自覚症状が出にくく、検査によって初めて分かることも少なくありません。
このように卵管の通過障害があると、精子と卵子が出会うことが難しくなり、卵管性不妊症の原因となります。
卵管形成術は、こうした卵管の詰まりや狭窄を改善し、妊娠の可能性を高めることを目的とした治療法です。
治療では、膣から卵管鏡を挿入し、狭くなっている、あるいは閉塞している部位にバルーンカテーテルを用いて押し広げることで、卵管の通過性を改善します。
外来診療内で行える手術で、メスを使用することもなく、身体への負担が比較的少ない治療とされています。
ただし、卵管形成術の効果は永続的なものではありません。
術後、おおよそ半年が経過しても妊娠に至らない場合には、体外受精など、次の段階の不妊治療を検討することがあります。

よくある質問

Q. 人工授精は何回まで行いますか?

人工授精(IUI)は一般的に3〜6回程度を目安とすることが多い治療です。
当院では、年齢、精液所見、卵巣予備能、これまでの治療経過などを総合的に評価し、漫然と回数を重ねることはせず、医学的に妊娠の可能性が低いと判断した場合には、適切なタイミングで次の治療ステップをご提案しています。

Q. 何歳まで一般不妊治療が可能ですか?

明確な年齢制限は設けていませんが、年齢とともに妊娠率は低下するため、一般不妊治療が適しているかどうかは個別に判断しています。
特に35歳以降では、治療の選択肢や進め方について慎重な検討が必要となるため、当院では初診時から将来の治療方針も含めてご相談させていただいています。

Q. ART(体外受精)への切り替えの目安はありますか?

年齢、不妊期間、検査結果、これまでの治療経過などを総合的に判断しますが、一般的には以下のような場合にはARTへの移行を検討します。

  • 人工授精を複数回行っても妊娠に至らない場合
  • 年齢が高い場合
  • 卵管因子や精子因子など、一般不妊治療での妊娠が難しいと考えられる場合

東京ARTクリニックは高度生殖医療(ART)専門施設であるため、必要に応じて速やかに次の治療ステップへ移行できる体制を整えています。患者様の大切な時間を無駄にしないことを重視し、一人ひとりに最適なタイミングをご提案しています。