子宮内膜に対する検査・治療とは、着床を妨げる子宮内の異常や炎症、内膜の発育不良などを評価し、妊娠しやすい子宮環境を整えるための医療です。

対象となる方
  • 胚移植をしても妊娠に至らない方
  • 流産を繰り返す方
  • 子宮内膜が薄いと指摘された方
東京ARTクリニックの子宮内膜治療の特徴
  • 生殖医療専門医が直接評価
  • 子宮鏡、CD138、EMMA/ALICEを組み合わせた包括的診断
  • PRP、エクソソーム、間葉系幹細胞治療など再生医療的アプローチも併用可能

子宮鏡検査

子宮鏡検査とは

子宮鏡検査(ヒステロスコピー)は、子宮口から細い内視鏡(子宮鏡)を挿入し、子宮頸管~子宮内腔の状態を直接観察する検査です。
超音波では分かりにくい子宮内の異常を、映像で確認できることが特長です。
検査時間は5分程度です。

検査の方法

検査では、観察しやすくするために生理食塩水などで子宮内を広げたうえで、子宮鏡を挿入して子宮の中を確認します。
検査中の痛みは強くないことが多いですが、子宮内に刺激が加わるため、検査後に軽い下腹部痛(生理痛程度)や少量の出血がみられる場合があります。

検査に適した時期

子宮内膜が薄く、観察しやすい月経終了後〜排卵前の時期に行うのが一般的です。

子宮鏡検査でわかること

子宮の中を直接観察することで、着床の妨げとなる以下のような状態を確認できます。

  • 子宮内膜ポリープ
  • 粘膜下筋腫
  • 子宮内腔の癒着
  • 子宮の形態異常(子宮奇形など)
  • 出血の原因となる病変
  • 慢性子宮内膜炎が疑われる所見 など

子宮鏡検査によって原因が明確になることで、その後の治療方針を立てやすくなります。

内膜菲薄・内膜炎・細菌叢検査

内膜菲薄(子宮内膜が薄い状態)

妊娠の成立には、受精卵が子宮に到達し、子宮内膜に着床する必要があります。
そのためには、子宮内膜がある程度の厚さ(一般的に7mm以上が目安)を保っていることが大切です。
子宮内膜が薄い状態を内膜菲薄(ないまくひはく)といい、内膜が十分に育たない場合、受精卵が着床しにくくなることがあります。

検査

内膜菲薄の評価には、主に以下の検査を行います。

経腟超音波検査
子宮内膜の厚さや状態を確認します
子宮鏡検査
子宮の中を直接観察し、ポリープや癒着などがないかを確認します

内膜炎(慢性子宮内膜炎)

子宮内膜に炎症が起きている状態を子宮内膜炎といいます。
特に、軽度な炎症が長く続く状態を慢性子宮内膜炎と呼び、自覚症状がほとんどないことも多く、気づきにくい場合があります。
慢性子宮内膜炎があると、子宮内膜が着床に適した状態になりにくく、着床不全の原因となったり、流産のリスクが高くなる可能性が指摘されています。

検査

慢性子宮内膜炎が疑われる場合、以下の検査で評価を行います。

子宮鏡検査
子宮内の炎症所見の有無を観察します
CD138検査
子宮内膜の組織を採取し、炎症の有無を顕微鏡で確認します
子宮内細菌叢検査(子宮内フローラ検査)
子宮内の細菌バランスを調べます

子宮内細菌叢検査(子宮内フローラ検査)

子宮内にはさまざまな細菌が存在し、そのバランス(細菌叢)が着床環境に関係すると考えられています。
子宮内細菌叢検査は、子宮内の細菌の種類やバランスを調べ、着床に適した環境かどうかを評価する検査です。
子宮内は無菌ではなく、ラクトバチルス優位な環境は着床率が高いと報告されています。
検査は細い器具を用いて子宮内膜を少量採取します。
(採取時に軽い痛みや違和感を感じる場合があります。)
子宮内細菌叢検査には、主に以下があります。

子宮内フローラ検査

子宮内フローラとは子宮の中の菌環境のことで、長らく子宮は無菌と考えられてきましたが、技術の発展により2015年、子宮にも菌がいることがわかりました。
さらに2016年には子宮内フローラが妊娠率や出産率に影響を与えることがわかり、子宮内フローラ検査によって、患者様の子宮内細菌叢を調べることで、細菌叢環境が良くなかった方に治療することにより、妊娠成績を向上させる可能性があります。

EMMA検査

着床に関係するとされる菌(例:ラクトバチルス属)を含む細菌バランスを解析し、子宮内の環境が着床に適しているかを評価します。

ALICE検査

慢性子宮内膜炎に関連するとされる細菌の有無を調べ、炎症の背景となる細菌感染が疑われるかを評価します。

着床環境の改善

受精卵(胚)が着床しやすくなるためには、子宮内の環境を整えることが大切です。
当院では、原因を丁寧に評価したうえで、患者さま一人ひとりに合わせた治療・対策を行います。

子宮内膜が薄い場合(内膜菲薄)

子宮内膜の厚さが十分でない場合、胚が着床しにくくなることがあります。
このような場合には、以下のような方法で内膜を整える治療を検討します。

ホルモン補充療法(エストロゲン・黄体ホルモン等)

内膜の発育を促し、着床に適した状態を目指します。

PRP療法

患者さまご自身の血液から高濃度の血小板を抽出し、子宮内に注入する方法です。
現時点ではエビデンスが限定的ではありますが、内膜の活性化を促し、着床環境の改善を目指します。

  • 治療の選択は、内膜の状態や治療歴などを踏まえ、医師が総合的に判断します。

内膜炎(慢性子宮内膜炎)の場合

慢性子宮内膜炎が疑われる場合、着床不全や流産の原因となることがあります。
原因となる菌が特定された場合には、抗菌薬による治療を行い、炎症の改善を図ります。

子宮内細菌叢の結果から行われる治療

子宮内の細菌バランスが着床環境に影響する可能性があるため、検査結果に応じて以下の治療を検討します。

ラクトバチルス属が少ない場合

乳酸菌関連の治療(サプリメントの使用など)を提案することがあります。

炎症に関与する菌が検出された場合

まずは抗菌薬による治療を優先し、子宮内環境の改善を目指します。

ラクトバチルス属がほとんど検出されない場合

必要に応じて、乳酸菌を補う治療を行い、細菌バランスの改善を図ります。

  • 治療法は検査結果や体質により異なり、すべての方に同様の治療を行うわけでは

よくある質問

Q. 子宮鏡検査は痛いですか?

子宮鏡検査は細いカメラを子宮内に挿入して観察する検査です。
強い痛みを感じることは多くありませんが、下腹部に軽い違和感や月経痛のような痛みを感じる場合があります。痛みの感じ方には個人差があります。
当院では、できるだけ負担が少なくなるよう配慮しながら検査を行っています。不安が強い方は事前にご相談ください。

Q. 検査はどのタイミングで受けますか?

子宮鏡検査は、月経終了後から排卵前までの時期に行うのが一般的です。
この時期は内膜が薄く、子宮内の状態を正確に評価しやすいためです。
慢性子宮内膜炎やフローラ検査などの組織検査についても、移植周期を考慮しながら適切なタイミングをご案内します。

Q. 内膜炎があると必ず治療が必要ですか?

慢性子宮内膜炎が確認された場合、多くは抗菌薬による治療を行います。
ただし、炎症の程度や症状、これまでの治療経過によって対応は異なります。
必ずしも全員に同じ治療を行うわけではなく、検査結果を踏まえたうえで、妊娠に影響すると判断される場合に治療を行います。

Q. PRP療法は誰でも受けられますか?

PRP療法は、子宮内膜が十分に厚くならない場合などに検討される治療法です。
すべての方に適応があるわけではなく、内膜の状態や既往歴を踏まえて適応を判断します。
また、PRP療法は比較的新しい治療法であり、現時点ではエビデンスが限定的な部分もあるため、十分な説明のうえで実施しています。

Q. 検査後すぐに胚移植はできますか?

検査内容によって異なります。
単純な子宮鏡検査のみで異常がなければ、次周期以降に移植が可能な場合があります。
一方で、慢性子宮内膜炎やフローラ異常が見つかった場合は、治療を行い改善を確認してから移植を行うことが望ましいと考えています。
当院では、検査結果をもとに最も妊娠の可能性が高まるタイミングで移植をご提案しています。